平成31年度 神奈川県立厚木東高等学校

74回入学式 校長式辞

 

 

 校庭の草木が生き生きと芽吹き、満開のソメイヨシノや花壇の色とりどりの花々が、新しいスタートを切る皆さんを晴れやかに迎えています。

希望の春、この良き日に、「神奈川県立厚木東高等学校第74回入学式」を挙行できますことを大変嬉しく思います。また、本日はご多用中にもかかわらず、多くのご来賓の皆様のご臨席を賜り、新入生の門出を共にお祝いいただきますこと、誠に有り難く厚く御礼申し上げます。

 

74期生の皆さん、ようこそ厚木東高校へ!本日皆さんを東高の新入生として迎えることを、教職員一同、大変嬉しく思っています。

本校は、創立114年の、地域の伝統校です。明治39年の郡立女子実業補習学校に始まり、関東大震災や、太平洋戦争など、幾多の苦難や学校存亡の危機に見舞われながらも、名を変え、形を変え、場所を変え、明治・大正・昭和・そして平成の歴史を、誇り高く生き抜いてまいりました。広大な敷地と豊かな自然環境に恵まれ、地域の皆さんに愛され、親しまれてきた本校は、穏やかで落ち着いた校風のもと、これまで世に送り出した卒業生の数は2万5千を超えます。新しい時代「令和」の幕開けとともに、この学校の一員となったことを、どうかみなさん、誇りに思ってください。皆さんの東高での3年間が、皆さんの人生においてかけがえのない宝となるよう職員一同全力でサポートします。

 

 皆さんの生きる「令和」の世は、情報科社会の次の未来社会であるソサイエティ5.0を目指して、現実空間とインターネットによる仮想空間が結び付き、テクノロジーや産業構造、働き方が激変する不透明な時代であると言われています。AIの発展に象徴されるように社会はすさまじいスピードで変化しています。生まれた時からスマホがあり、デジタルネイティブといわれる世代の皆さんは、これまで生きてきた15年の間、ロボットや機械に仕事を奪われるとか、100年を生きる超高齢化社会の福祉や年金は大丈夫なのかなど、不安な話題を、何度も耳にしたでしょう。

 

さて、高等学校は何のためにあるのでしょうか?みなさんは何のために学校に来るのでしょうか? 学校は、「みなさんが社会の中でよりよく生きて行けるようになるための場所」です。皆さんが将来自立した社会人となって、予測の出来ない世の中を、力強く、より幸せに生きるために、学校はあります。学校でなくてもそのゴールを達成する道は他にもありますが、学校はたくさんの仲間がいて、たくさんの挑戦とたくさんの失敗ができる場所です。この場所でどんな不安にも負けない、未来への希望の種を育てようではありませんか。

   

「予測不能な未来の社会を自立して幸せに生きて行ける生徒を育てること」、それが本校のスクールミッションです。そこで、本校が育てたい生徒像として「他者を思いやり、自ら考え、自ら行動し、自らを高める生徒」を掲げています。そして、その達成のために皆さんに、次の3つの力を身に着けてほしいと考えています。

1つ目は、100年の生涯を学び続ける「自学力」です。産業構造が変化する時代においては、一生一つの会社に勤め、同じ仕事をし続けることは難しくなります。幸せに生きるためにつねに新しい知識や技能を身に付けキャリアアップしていかなければなりません。自分を知り社会の変化を知り、今、何を学ぶべきなのかというところから自分で考えなければならない時代になります。基礎的な知識技能を身に着けることはこれまで通り大切ですが、情報を読み取って、考えて、表現する「新しい学力」がますます重要になっていきます。

2つ目は、人と繋がり社会に貢献する「人間力」です。答えのない困難な問題に対して、様々な異なる考えを持った人たちを調整し、みんなが納得するよりよい解決策を見出し、実行していく。そのためには、他者を理解し、他者を思いやり、自分を表現して相手にわかってもらう力が不可欠です。コミュニケーション力、常識やマナー、人と良くつながる力、これらの力を総称して「人間力」と呼んでいます。いつの日か自分らしく社会に貢献するためにとても大切な力です。

3つ目の力は困難に負けずより高い目標に向かう「挑戦力」です。現状に満足し、新しい仲間や新しい考えを排除し続け、互いに敬意を払えないような社会に平和や発展はありません。挑戦には勇気や努力が必要ですし、挑戦には困難が伴います。しかしそういった困難があってこそ初めて人は成長することができます。この1年間、高校受験と取り組んできた皆さんには、実感していただけるでしょう。

「自学力」「人間力」「挑戦力」 この3つの力を育成し、将来自立した社会人として社会に貢献する人財として育っていってもらうために、東高には勉学はもちろん、部活動・生徒会活動・委員会活動・ボランティア活動・学校行事とたくさんの舞台が用意されています。どうか、いろいろなことに挑戦してください。

間違えないでほしいのは、たくさん友達を作りなさいとか、気の合う人と集まって楽しく仲良くやりなさいと言っているわけではないということです。世の中にはいろいろな人がいて、性格や考えがみな違います。だから面白いし、だから社会が進化発展します。ゆえに、人とぶつかることを恐れないでください。自分との違いを嫌がるのではなく、個性として認め、互いに尊重しあって、自分も自分と違う周りの人も大切にする人になってください。学校は皆で仲良くできる所であり、また一方で、皆で仲良くするというのは時に難しいものだということを教えてくれる場所でもあります。だから、思いやる心が大切です。高校時代に腹を割って本音で話の出来る友達が一人できれば、あなたの100年の生涯の宝物となります。 

 

最後に、入学にあたり、校長として皆さんにぜひとも伝えておきたいことがあります。社会のルールにはいろいろなものがありますが、まず、何より一番大切なのは、命を大切にすることです。自分の命はもちろんですが、他の人の命についても同じです。だから、交通事故に気を付けることや、皆さん自身の体や心の健康を大切にしてほしいことはもちろんですが、友達の人権を大切にすることも忘れないでほしい。それもまた、命を大切にすることです。言動には責任を持ち、人として間違ったことをしていないか常に自問自答してください。もちろん失敗して全然構わない。それが学校という場の役割です。ただし、間違ったと思ったときあなたがどう行動するのか。それが肝心です。

 

さて、本日、ご参列いただきました保護者の皆様方、改めましてお子様のご入学、誠におめでとうございます。高校での3年間は、人生の方向を決定する大事な時期であり、悩みや苦しみの大きい時期でもあります。私たち職員は大切なお子様をお預かりし、一人ひとりが自らの生きる道を、自らの力で切り拓いていけるよう全力でサポートして参りますが、同時に、保護者の皆様と学校がそれぞれの役割を果たしながら、相互に補完しあい、連携を密にしていくことが重要と考えております。どうか本校の教育方針をご理解いただき、ご支援とご協力を賜りたいと存じます。

 

「平成」が間もなく終わりをつげ、新たな時代「令和」がスタートします。新しい時代の担い手となる、74期生の皆さんの、一生懸命の取組に大いに期待しています。無限の可能性に向かい、仲間とともに元気にチャレンジしてください。厚木東高校もまた、変化を恐れず挑戦し続けます。

最後に皆さんのご入学をもう一度心から歓迎して、わたくしの入学の式辞とさせていただきます。

 

 

平成314月5日 

神奈川県立厚木東高等学校 

35代校長 村越みどり